地域での暮らしを、より楽しむ存在に。

  • 2021年 ローカルライター養成講座 <初級編>
  • 第一回開催レポート

初めましての瞬間は、どうしたって緊張するもの。みんなで大きな机をぐるりと囲み、少しのあいだ沈黙して、13時が来るのを待つばかり。でも、涼しい風がスルスルと、ウッドデッキにいるわたしたちの隙間を通り抜けていきます。草むらから、優しい虫の声が響きます。なんだかこの時間がずーっと続いてもいいぐらい、心地よい環境です。

2021年9月26日13時、「ほうらいの家」は、雨上がり。それぞれの目的と期待を胸に、ローカルライター養成講座<初級編>、7名の参加者がここに集まりました。

いよいよ講座はスタート。『RE edit north otsu』編集長・山崎純敬さんによる趣旨説明、講師・和泉華織さん、アシスタント・奥田彩の自己紹介を終えて、和泉さんから発表されたのは全3回のこの講座のゴールです。

「湖西のローカルライターとして『RE edit North Otsu』に記事を掲載してもらいます!」

ワクワク?驚き?不安?…全部を混ぜたような、参加者のみなさんのお顔。ちょっと待って和泉さん、いきなり掲載なんて、できるんですか!?

「当初は『初級編』ということで、そこまで考えていませんでした。今回受講いただいた方の中から、特にローカルライターを目指す思いが強い方向けに『中級編』『上級編』を開催し、そこで実際に取材した記事を掲載しようと思っていたんです。

でも、お申し込みいただいたみなさんの参加動機を見て、あっ、このメンバーならいけるな、と思いました」(和泉)

そう。今回集まったみなさんは、湖西地域に関心があったり、仕事やブログなどで普段から「書くこと」に馴染みがあったりと、高いポテンシャルとモチベーションを持っている方々なのです。

「インタビューや文章のコツを人から教えてもらっただけでは、身につきません。やっぱり実践して、失敗して、自分で体感してみないとわからないことっていっぱいある。

REeditの場合は、記事を載せられるステージがすでにあります。これってすごくラッキーなんですよ。まずはみんなでそのステージに立つことを目標にしましょう!」(和泉)

第1回は、次のような内容で講座を行いました。

・「他己紹介」でインタビューと文章作成の流れを体験

・ローカルメディアやローカルライターの魅力を知る

・次回に向けて取材の準備を行う

△他己紹介で、滑らかな発表を行うディーガン美佐子さん。

まずは、アイスブレイクとして使われることの多い「他己紹介」。2人ずつペアを組んで互いの話を聞いてから、他のメンバーに、ペア相手のことを紹介するワークです。今回は文章作成の流れを体験するため、相手にインタビューをした後、紹介するための文章をまとめていきました。

△まとめた文章を元にスピーチします。ちょっと緊張!和気あいあいとインタビューしていた清水章智さん。

そこでインタビュー前に和泉さんから出された課題は、質問を10個以上考えること。「うーん、10個も思いつかない」と四苦八苦しながらも…、この他己紹介ワーク、かなりの大盛り上がりでした。インタビューが始まると、みなさん、講座開始前の静けさが嘘のように話すのに夢中で、制限時間で打ち切るのが難しいぐらいです。

△他子紹介の相手の魅力を余すことなくスピーチ。松尾帆乃花さん。

そんなインタビューで集めた情報をもとに、これまた「うーん」と唸りながら文章をまとめます。最後はいよいよ、口頭発表。みなさん緊張しながらも、ペア相手の魅力が伝わる発表をしてくださり、心が温まりました。

△村井美由貴さんによる楽しい発表。笑顔がこぼれる田村志帆さん。

さて、メンバー同士のことを知った後は、「ローカルメディア」について知る時間です。

「ローカルメディアやローカルライターというのはなかなか定義しづらいもので、人それぞれに考え方があると思います」(和泉)

そんな前提のもと和泉さんが紹介したのは、「ローカルメディア座談会」で各メディアのメンバーが提示した考え方。ここでは一般的な解釈と、RE edit North Otsu・編集長の山崎さんが座談会で語られていたことについて改めてご紹介します。

一般的には、大衆を相手にしたマスメディアと比べる形で「地域限定の情報を発信する媒体」とされるのがローカルメディア。RE edit North Otsuではさらに、次の役割を担っていると考えています。

・ものの見え方を編集し、地域の魅力そのものを変えていける
・ここに暮らす人たちの日常を見える化できる
・ローカルには無意味なもの、無駄なものがたくさんあり、その「余白」に詰まっているいいものを発掘できる

そして、今回の講座のテーマでもある「ローカルライター」は、地域に根ざした書き手のこと。RE edit North Otsuでは、「自分の書きたいことだけを書くのとは違う、でもプロのように商業的な文章を書くのとも違う。両方の要素を少しずつ含みつつ、地域の魅力を発掘し、飾らずに伝える人」と考えています。

各地でローカルメディアが開設され、かつ、ライター養成ワークショップも増えつつある現在。ローカルライターの活動には、地域の魅力を再発見し、内外へ発信することが求められています。

しかし、実はそれだけではありません。ローカルライター自身が、取材や執筆を通して地域について知り、地域の見え方が変わり、暮らしを楽しむようになること。そしていずれ、その地域での暮らしを楽しむ人が更に増え、地域全体が元気になっていくこと。そんな効果が、ローカルライターに期待されているんです。

「自分たちが楽しむこと」自体にも意義がある活動。なんて魅力的なんだろう!と思いますよね。

ローカルライターの役割や魅力についてそれぞれに理解を深めたところで、早速、次回は取材です。取材先が決まってからの準備について、次の3つが宿題として示されました。

・下調べ

・質問を10個以上用意

・普段から、「聞くこと」を意識

下調べとは、既存の記事を探して読み、その取材先について情報を収集しておくことです。和泉さん曰く、下調べと、質問の用意は連動するのだそう。

「取材先について、以前どんな内容の記事が書かれていたかを知ったうえで、質問を考えるんです。すでにある記事と同じ内容を書いても、読む人にとってはあまり価値がありません。だから、これは今まで訊かれていないだろうという『自分だけの質問』を必ず一つは考えておいてください」(和泉)

取材対象の新たな魅力を発見するためには、この「自分だけの質問」がキーポイントになっていきそうですね。

次回の講座はまさに「実践」。参加者のみなさんからは、取材の準備についてもたくさん質問が飛び出し、少しドキドキした気持ちが伝わってきました。みなさんが地域での暮らしをより味わい、楽しむ存在になることが、今から待ち遠しいです。

それでは次回、10月24日の講座も、お楽しみに!

■講師
コピーライター 和泉華織
関西を拠点に幅広い業界の広告制作に携わり、ライター歴は20年以上。
現在は『RE edit north otsu』のライターの一員としても活躍中。
講師経験は少ないため不慣れな部分もあると思いますが
一緒に楽しみながら学びの場を創っていきましょう。

■開催日
第一回 09月26日(日)13:00〜16:00(募集終了しました)
第二回 10月24日(日)13:00〜16:00(募集終了しました)
第三回 11月28日(日)13:00〜16:00(募集終了しました)

■受講料
1回4,000円×3回=12,000円(税込)
※初回に全額お支払いください。
※全3回に参加いただきたいため、受講者の都合により受講ができなくなる場合、基本的に払い戻しは致しません。やむを得ない事情がある場合は個別にご相談ください。

■定員
8名(募集終了しました)
※滋賀県在住でなくてもかまいませんが、大津市北部エリアと何らかの関わりがある方を優先します。

■会場
ほうらいの家 ウッドデッキ
滋賀県大津市南船路271-1
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