ねっこ自然農園「手づくり醤油ワークショップ」レポート

和食に欠かせない調味料、醤油。昔はみそ同様に、各家庭で手づくりされ、家ごとのこだわりの味があったといいます。忙しい現代ではすたれてしまった文化ですが、料理と同じで、醤油もやっぱり手づくりがおいしい! 素材にこだわれば、なおさらです。

そんな手づくり醤油の魅力と文化を伝えたいと、毎年冬に醤油づくりワークショップを開いているのが「ねっこ自然農園」の加藤大輔さん。湖西の大地でのびのびと育った穀物で仕込む醤油は、いったいどんな味がするのでしょう? 1月後半に行われたワークショップに密着してきました。

*ねっこ自然農園さんのインタビュー記事はこちらから

1年寝かせたもろみを搾り、”新もの”を仕込む

△参加メンバーが昨年仕込んだ醤油。搾る前なので、どろっとした固形物である「もろみ」の状態。

北比良に暮らしながら、高島市鵜川で有機農園を営んでいる加藤大輔さん。加藤さんがご自宅で醤油づくりワークショップを開催するのは、毎年1月~3月。農閑期であることも理由ですが、寒い冬に仕込むことで、雑菌が発生しにくい良さがあるとか。もちろん仕込みに使うのは、大輔さんが有機農法で丹精込めて育てた穀物たちです。

この日のワークショップ参加者は、「家族ぐるみで仲良し」という4組のご家族、総勢9名の大所帯。参加は3年目、毎年の新年会を兼ねて集まっているそうです。

ぞくぞくと到着したメンバーが、大事そうに抱えているのは大きなガラス瓶。これは、昨年のワークショップで仕込み、この日まで各家庭で発酵、熟成させてきた醤油のもと(もろみ)です。原料が発酵した「もろみ」を搾ってはじめて醤油になるのですが、これが自宅ではなかなかむずかしい……。そこで、新しい醤油を仕込んでいる間に、大輔さんが圧をかけてしっかり搾ってくれるというわけです。

△参加メンバーが昨年仕込んだ醤油。搾る前なので、どろっとした固形物である「もろみ」の状態。

北比良に暮らしながら、高島市鵜川で有機農園を営んでいる加藤大輔さん。加藤さんがご自宅で醤油づくりワークショップを開催するのは、毎年1月~3月。農閑期であることも理由ですが、寒い冬に仕込むことで、雑菌が発生しにくい良さがあるとか。もちろん仕込みに使うのは、大輔さんが有機農法で丹精込めて育てた穀物たちです。

この日のワークショップ参加者は、「家族ぐるみで仲良し」という4組のご家族、総勢9名の大所帯。参加は3年目、毎年の新年会を兼ねて集まっているそうです。

ぞくぞくと到着したメンバーが、大事そうに抱えているのは大きなガラス瓶。これは、昨年のワークショップで仕込み、この日まで各家庭で発酵、熟成させてきた醤油のもと(もろみ)です。原料が発酵した「もろみ」を搾ってはじめて醤油になるのですが、これが自宅ではなかなかむずかしい……。そこで、新しい醤油を仕込んでいる間に、大輔さんが圧をかけてしっかり搾ってくれるというわけです。

△醤油の搾り作業の様子。もろみを濾し袋に入れ(写真上)、大輔さんお手製の装置に入れて圧をかけ、ぽたりぽたりと搾っていく(写真下)。

まずは小麦のしたくから。丁寧なしごとがおいしさの秘訣

身じたくを済ませたところで、今年の醤油づくりのスタート。はじめに、大輔さんから作り方についての説明がありました。

醤油の主な原料は「大豆・小麦・食塩」の3つ。ほかに水と発酵をうながす微生物である麹菌(こうじきん)を使います。たったこれだけで、あんなに複雑な味が生まれるとは、発酵のチカラは本当にスゴイ!

<醤油のつくり方>
① 材料の下準備をする(大豆は蒸す。小麦は炒ってから、細かく粉砕する)。
② 1の大豆と小麦に種麹を加えて、温室で約3日間繁殖させ、「醤油こうじ」をつくる
③ 2の「醤油こうじ」と食塩水を密閉瓶に入れ、約1年間、発酵させる。

全行程を行うのは時間的に難しいため、ここでは、大輔さんと奥さまの真帆さんの手を借りながら、ポイントとなる部分を進めていきます。まずは、小麦の下準備から。収穫された小麦にまぎれたゴミを丁寧に取り除いてから、鍋で小麦を空炒りしていきます。「原料が生のままでは、発酵のスターターである”麹菌”を繁殖させることができません。そのためには、大豆は蒸す、小麦は炒るのが一番いいんです」(大輔さん)。

炒り方のお手本を見せてくれたのは、お二人の長男の麻陽くん。焦がさないよう、少量ずつ木べらで炒っていきます。小麦が焦げ茶色になって、弾けそうなくらいぷっくりと膨らめばOK。ポップコーンを作る感じに、ちょっぴり似ているかも!

△赤ちゃんの頃から作業を見ている麻陽くんは、炒り加減の見極めもバッチリ。

△最年少の参加者、おちびちゃんも香りにそそられ、興味津々のようす。

△こんがり&香ばしく炒られた小麦。この香ばしさも、醤油の芳醇な香りにつながっているのかも。

△炒り終えた小麦を粉砕器で粗挽きにすれば、小麦のしたくが完了です。

抜群のチームワークで、こうじづくりに挑戦

次のステップは、醤油づくり最大の要となる「醤油こうじ」づくり。粗挽きした小麦に、発酵をうながす「種麹(たねこうじ・麹菌の胞子)」を振りかけていきます。

麹菌(こうじきん)とは、日本固有のカビの一種で「コウジカビ」とも呼ばれます。カビといっても、一切人間に対して悪さをしないので、ご安心を。 米や麦、大豆などの穀物に生えて、味噌や酒、米酢など、和食に欠かせない発酵食品をつくる手助けをしてくれるスゴイ存在なんです。

茶こしを使って種麹を振りかけると、ふわ~っと胞子が舞い散ります。それをみんなでしっかり混ぜ合わせたところで、もうひとつの主役、大豆の投入です。

今回は、大輔さんと真帆さんが事前にふっくら蒸しあげた大豆を使います。たまらず、数粒つまませてもらうと、甘みが濃くてホクホク。これは、最高の醤油になるに違いありません……!

ざくざくざく、ぱらぱらぱら。心地よい音を立てながら、まんべんなく、大量の大豆と種麹を加えた小麦を手でまぜていきます。さすがは仲良し4家族、息もぴったり。それぞれの手が持っている常在菌も合わさることで、唯一無二の味わいになるのです。

しっかり混ざったところで、これを「麹室(こうじむろ)」と呼ばれる温室の中へ……。約30°C、湿度約60%程度の環境で約3日間おくと、麹菌がびっしりと生え、薄緑色の「醤油こうじ」が完成します。

といっても3日は待てないので、次のステップでは、ひとつ前の回の参加者さんが仕込んでくれたものを使います。今回の仕込み分は、次回の参加者さん分になるとのこと。どうか、うまくいきますように……!

△上が、大輔さんお手製の麹室(こうじむろ)。下が、麹菌がびっしり生えた「醤油こうじ」。室に入れる前と、見た目が全然違います!

瓶につめれば仕込み完了。1年後が楽しみ!

いよいよ仕込みもラストスパート。消毒した密閉瓶に食塩水を注ぎ、醤油こうじを混ぜ合わせていきます。5Lの瓶に仕込むので、混ぜ合わせるのもひと仕事。一家総動員でせっせと混ぜていきます。

「お塩もかなりの量を使うので(今回は700g)、皆さんこだわりの塩を持参されていますよ。選ぶ塩によって味が変わるのも面白いんです」(真帆さん)。

△ねっこ自然農園を主宰する加藤大輔さん

仕込みが終われば、あとは各家庭で1年間寝かせ、時々かきまぜながら発酵していくのを待つのみです。

ちょうど同じ頃、昨年分のすべての搾りも完了。透き通るような茶色が、とてもきれい。「火入れによる加熱殺菌をしないと、こんな明るい色になるのです。微生物もまだ生きていますよ。いわゆる“ 生揚醤油(きあげしょうゆ)”の状態ですね」と大輔さん。

味見をさせてもらうと、すっきりとフレッシュな香りで、驚くほどまろやかな味わい。ふだん食べている醤油とは、ひと味もふた味も違います。湖西の大地が育んだ素材で仕込んだ、搾りたての醤油。手づくりした人だけが味わえる、最高のごちそうです。

△写真下は、醤油の搾りかす(おみやげになります)。すっかりカラカラですが、「栄養も旨みもまだまだ残っています。ふりかけやチャーハンに使うのがおすすめ」(大輔さん)。

ところで、搾りたてほやほやの醤油、参加者さんはどんな風に味わっているのでしょう?

全員一致のイチオシは、なんと「卵かけごはん」。醤油そのものに旨みがあるので、まずは火を通さない料理がおすすめとのことでした。そして、この日のワークショップの感想をたずねると、とてもすてきな答えが返ってきました。

「おいしさが格別です! 顔が見える農家さんの素材を使うので、安心&安全なのもうれしいですね。仕込みは手間も時間もかかりますが、みんなでワイワイつくるからとても楽しい。きっと、こうしたひと手間が、最高の仕上がりにつながっている気がします」

「新年に醤油を仕込むことで、気持ちがすっとあらたまる気がします。今では、大切な家族行事になりました。昔の暮らしを追体験する良さもあるし、素晴らしい知恵もつまっている。僕らもこの文化を次世代に伝えていきたいですね」

3時間半ほどの長丁場でしたが、みなさん達成感もひとしおのよう。お子さんと一緒に参加すれば、楽しい食育にも。手前みそならぬ、手前醤油ワークショップ、ご家族での参加もおすすめですよ。

ねっこ自然農園

https://neccofarm.jimdofree.com/

*毎年1~3月に、醤油、味噌づくりワークショップをそれぞれ開催。スケジュールや料金、申し込み方法は、ホームページの「ワークショップ・出店」からご確認ください