琵琶湖で思いっきり水と遊ぼう!

  • KALPA LAKE SPORTS
  • 三間 啓司さん

週5日パソコンに向き合っていると、気づけば身体の節々がバキバキ、目は常時疲れ気味に。何よりも、「遊び方」を忘れてしまったような気がします。遊びだけに夢中になれていたあの頃の感覚は、どこにいってしまったのだろう……。

そんな大人たちが思いっきり遊べる環境を求めて集まる場所がある、と聞いてやってきたのは、JR湖西線の比良駅から徒歩5分、「KALPA LAKE SPORTS」(以下、KALPA)です。琵琶湖でのアクティビティを提供しています。

このKALPAを地元で立ち上げ、仕事でもプライベートでも琵琶湖でのびのびと遊んでいるという三間啓司さんに、暮らしと遊びのお話しを聞いてみました。

一度は離れた地元の美しさが、お店を始めるきっかけに

── KALPAはどんなお店なんでしょうか。

琵琶湖でウォータースポーツの体験を提供しているお店です。セイルボードと呼ばれる道具で水面を滑走するウィンドサーフィンと、SUP(スタンドアップパドルボード)のレッスンを選べます。僕にとっての地元である湖西エリアでお店をやりたくて、2019年の8月にこの場所にオープンしました。

── 三間さんがウォータースポーツを仕事にしたのは、どんなきっかけがあったんですか?

きっかけのひとつが、インドの南にあるモルディブで2年間マリンスポーツの仕事をしたことです。

── モルディブ!なかなか気軽に行ける場所ではないですよね。なぜモルディブに?

「モルディブでウィンドサーフィンをできる人を募集しているよ。やってみる?」と先輩から電話がかかってきて。「モルディブ」というお店の名前だと思ったんですよ。そしたら先輩に「英語はできるのか」と確認されて。「何の話だろう?」と思いながら引き受けたら、国の名前だったんですよね(笑)。

── それでも、そのまま引き受けたんですね!

最初から知っていたら行かないですけどね、そのときには「もういいかな、行ってみよう」と思って決めちゃいました。

モルディブでは英語の勉強をしながら、2年ほど仕事をさせてもらって店舗責任者になりました。だんだんと自分の技術に自信が出てきた頃に帰国して、かつてウィンドサーフィンを教えてくれた師匠の道具を引き継いでお店を始めたんです。

── モルディブから戻ってお店を開く場所として、地元を選んだのはなぜだったんでしょうか。

モルディブってリゾート地で、ものすごく海が美しい島なんです。2年間過ごしても見飽きなくて、いつ見てもずっときれいでした。でもそんなモルディブから戻ってきてこの琵琶湖の景色を見たら、「ここ、すごくきれいだな」と。

一度モルディブに行ったから、国内の移動ならどこも遠いと思わないし、日本にもこだわらんとこうかな、と思っていたんですよ。でも帰国して地元の景色を見たときに、その美しさに惹かれて。「ここにしよう」と思いました。

── 馴染みがあった地元から一度離れたことで、その美しさをあらためて捉え直したんですね。

琵琶湖のほとりで積み重ねられた人間関係が、地元の魅力

── 湖西エリアで生まれ育った三間さんにとって、琵琶湖は幼い頃から身近な存在だったんです か?

そうですね、物心ついた頃から琵琶湖で泳いでいました。学校終わりに自転車で琵琶湖に来て、このへんで泳いで。学校のプールにあまり行かないくらい、琵琶湖イコール泳ぐ場所でしたね。

あとは同級生の両親がヨットスクールを運営していたので、小学生の頃からヨットに乗り始めて。そのままウィンドサーフィンができるようになりました。ウォータースポーツにも馴染みのある環境でしたね。

── 地元から離れたい気持ちはありましたか。

離れるんだと思っていました。離れたい、というよりは、こっちは仕事が少ないだろうし街に出るものなのかな、と。湖西に住んだまま、高校は京都、大学は大阪まで通っていたので、就職先も大阪で探したんです。でも結局、モルディブにいた期間以外は滋賀にいます。

今となっては、この場所が最高ですね。地元への思いはあまり大きくは変わっていなくて、「思っていたより、もっとええ場所やったな」と思うくらい。ずっと好きな場所です。

── 「最高だな」と思える理由は、どこにあるんでしょうか。

ひとつは琵琶湖で、もうひとつは人間関係ですね。小さい頃から知っている人たちをはじめとして、ここでつながっている人たちのコミュニティがある。その存在がすごく大きいです。

このお店を始めるときも、湖西の知り合いが助けてくれました。お店の工事をできる友人がいるし、「これはどうやったらええんやろう」と聞ける人も思い浮かぶ。知っている人たちでだいたいすべてのことを解決できるんです。困ったことがあれば隣近所に行けるので、ここでお店を始められて本当に良かったなと思いますね。

── 同年代の方も周りにいらっしゃるんですか?

そうそう、一時期はこのエリアを離れても、戻ってきている人がたくさんいます。お店を始めてから同級生がちょこちょこ遊びに来てくれて、意外とみんな戻ってきていることに気づきました。「やっぱり帰ってきた、このへんがいちばんいいわ」と言う人、多いんですよ。

自由に、思いっきり遊べることを伝えたい

── お客さんはどのエリアから来ることが多いんでしょうか。

京都や大阪から来るお客さんが多いですね。口コミで知ってくれたり、このあたりに泳ぎに来ていた人がウィンドサーフィンをしている様子を見て翌年遊びに来てくれたり。あとはリピーター率がすごく高くて、何度も来てくれるお客さんがいます。

── 繰り返し訪れるうちに、この場所のことが好きになっていきそうですね。

そうですね、大阪在住でも週末は琵琶湖に来てくれたり、夏休みに何日も連続で通ってくれたりするお客さんもいるんですよ。それぞれの技術も琵琶湖でやりたいことも違うので、ひとりひとりとじっくり接していきたいと思っています。

△ 琵琶湖上でお客さんと一緒に滑走する三間さん

あとは最近、お客さん1人での予約が増えてきました。このエリアでの暮らしに興味を持っているみたいで、京都大阪への通勤が可能なのか、湖西で家を買いたいけれどどのエリアがいいのかを聞かれます。話しすぎて、気づいたらSUPで浮かんでいるだけのときもあるくらい(笑)。この場所の気持ち良さを知る窓口になれたら嬉しいですね。

── 三間さんが、ウォータースポーツの入口にも湖西エリアの入口にもなっているんですね。

最近嬉しいのは、このエリアに住んでいる人がお客さんになってくれることなんです。いつも琵琶湖に出ている姿を見て「あれなんや」と興味を持ってくれて。特に多いのが、子育て世代。どこでできるのか分からなかった、近所だからふらっと来てみた、と立ち寄ってくれるんですよ。

「小さい子でもウィンドをやってみたいと思っていたけれど、ずっとやれなかった。ここならできた」と言ってもらえると、嬉しいですね。水と遊ぶ最初の1歩をサポートできたらいいなと思います。

── 琵琶湖でのウォータースポーツの体験をとおしてお客さんに伝えたいことはありますか?

ウォータースポーツは必然的に自然と向き合うので、他のことを考えられなくなるんですよ。お客さんにも「仕事がしんどきときほど、乗っている間はすべて忘れられる」と言われます。

僕にとっては仕事と遊びが生活に組み込まれているので、これからもこのエリアで「もっと自由に遊んでいいんだよ」と伝えていきたいです。そのためにも、時には漕ぎ方をしっかり説明し、横で浮いているだけのときもありながら、お客さんと同じ目線で遊びを楽しんでいけたらいいですね。

KALPA LAKE SPORTS

住所: 滋賀県大津市北比良219-1
電話: 070-2323-5515
公式サイト: ​https://kalpa-lake-sports.jimdofree.com