憧れの職業に就くため、夫婦それぞれ県外に就職したけれど、自分らしく生きるには「生まれ育った湖西がいちばん」。そう気づいた粟谷さん夫婦は、Uターン移住で地元に戻り、家族4人とワンちゃんでのびのびと暮らしています。
無理をせず、自分らしさを大切に。「ストレスフリーの暮らし」をモットーにするお二人は、和邇で子ども向けラグビーチーム『アリゲーターズ』も主宰されています。いつもリラックスしていて、笑顔が たえないコーチとマネージャーの元気のひみつを、インタビューを通して探ってみました。
理想の家と暮らしを絵に描いてみた!
ーー おじゃまします。とても素敵な木のおうちですね。ウッドデッキからの見晴らしも最高です。
勇太:ありがとうございます。僕ら夫婦は湖西出身で、東京からUターンでこちらに戻ってきました。 帰るなら「憧れていた松井建設さんに設計・施工をお願いしよう!」と心に決めていて。湖西を中心に、木の家や日本家屋を得意とされている設計事務所なんです。
千穂:琵琶湖がない暮らしは、やっぱりさみしかったんです。新築にあたり、家族みんなで理想の家や暮らしを絵に描きました。それを建築士さんに見てもらいながら、進めたんです。私はおうちにいるのが大好きなので、自然を感じながら、のんびり暮らせる家にしたいなと思いました。
△焼杉板を横張りした「よろい張り」の外壁がこだわり。青空と周囲の緑に映えます。
ーー和邇の高台で、景色がいいですね!
千穂:私の実家は和邇で、山と湖をかけ回って育ったので、2人の子どもにもそんな暮らしをさせてあげたいと思ったんです。「琵琶湖が良く見える場所」を条件に探していたら、私の父が散歩中に偶然見つけてくれて。
勇太:調べてみたら、敷地が傾斜地だったり、地盤が少し弱いという面もありましたが、おかげで土地の価格が驚くほど安くて! 家に予算を費やすことができました。
△リビングから続くウッドデッキにて。1階だが庭に傾斜がある分、見晴らしはサイコー!
△薪ストーブは「Maki式」。広島の鍛冶屋さんが自ら鋳造して、オーダーメイドで造ってくれるそう。鉄板が分厚くて丈夫。粟谷家では調理用のオーブンもつけてもらった。
ーー敷地面積200坪もあるとのこと、さすがにお庭が広いですね!
勇太:傾斜はありますし、家にお金をかけた分、庭はほぼそのまま。椅子すらなくて、切り株が椅子代わり(笑)。でも、僕らも気に入っています!
千穂:お庭でBBQやミニキャンプを楽しんでいます。うちは、野外キャンプより布団で寝たい派なので、ちょうどいいですね。先日は、子どもが寝てから、夫婦で焚き火を楽しみました。静かで幻想的でした。
ーーおうちグランピング! いいですね~。
おうち大好き! 夫婦それぞれの家じかん
ーーご夫婦の二人のライフスタイル教えてください。
勇太:わが家のモットーは“ストレスフリー”な暮らし。この家を基地に、家族みんなが無理することなく、自分らしく過ごせるかたちを互いに応援したいと考えています。
僕は消防士をしていて、車で60分弱かけて職場に通っています。というとストレスあるじゃん、と言わ れそうですが(笑)。東京では満員電車で90分通勤していましたから、ずい分ラクになりました。体力づくりと趣味を兼ねて、薪ストーブの薪を準備するのが、今一番ハマっていること。自分で設計図を 描いて、薪棚も造りました。
ーー元の木材はどうされているんですか?
勇太:知人が近くの山で伐採の仕事をしているので、片付けを手伝いにいっては、伐採した木を無料でもらって帰ってくるんです。丸太を軽トラで運ぶのは、想像以上の力仕事ですけれど……!
千穂:気がつくとお庭にいて、いつも薪割りしているよね。
勇太:だよね(笑)。余計なことを考えずに集中できて、ストレス解消になるんですよ。自分にとって、薪割りは瞑想と近い感じかなあ。
ーー千穂さんはいかがですか?
千穂:私は自宅にアトリエをもうけ、「惑星」という名前でアクセサリーをつくっています。大学で染織を学び、デザインの仕事をしていましたが(リカちゃん人形のお洋服をデザインしていました!)、次男の出産を機に、子どもとの時間を大切にしながら家でできることを考えました。
ベースの材料には、琵琶湖で拾ったビーチグラスを使っています。かなり大量に落ちているので、ビーチコーミングと宝探しを兼ねて、子どもたちと楽しく拾い集めています。
△千穂さんのお父さまも、琵琶湖で遊んだ後は必ず、周りのゴミを拾って持ち帰っていた。父から娘 へ、バトンはしっかり手渡されているよう。
ーー環境にもやさしいし、とてもクリエイティブですね。
千穂:イマジネーションを膨らませ、作品をつくる時間が大好き。人付き合いが得意じゃないので、一人でいる時間が落ち着きます。あ、家事もそんなに好きじゃないか(笑)。だから、やりたいことがありすぎて興奮しているときに、家事をして心を落ち着けています。うまく、バランスをとっていますよ。
△琵琶湖がよく見える2階窓際が千穂さんのアトリエ。ガラスや陶器のかけらに、シフォンやビーズ、リボンを組みあわせて、ロマンティックで独創的な作品をつくりあげていく。
△作品はInstagramで公開・販売している。各地の催事やファッションの見本市に参加することも。
ーー今日のお二人のファッションも素敵です。
勇太:僕はキャップから靴下まで、全身を「EVISUジーンズ」さんで揃えました。EVISUジーンズは大阪発祥ですが、今は本社が和邇にあり、ショップも併設されているんですよ。
千穂:私のトップスは、福岡のハンドメイドファッションブランド「途中でやめる」さんのものです。リメイクで独創的なスタイルを提案されていて、大好きです。
△肘当てのかもめマークのロゴもワンポイント。釣り好きのEVISUジーンズの社長さんが、「いつでも釣りができるように」と和邇に移住されたのは地元では有名な話。
△袖には「その日の花を摘め(Carpe diem)」と刺繍されている。実は、古代ローマの詩人の言葉。深い!
楽しんでいる大人が増えれば、子どももきっと元気になる
ーーお二人は、子どもラグビーチームを主催されているんですよね。
勇太:はい。「アリゲーターズ」といって、2019年秋に設立しました。僕が大学ラグビーに打ち込んでいたこともあり、僕がコーチ、妻がマネージャーです。幼児と小学生を対象にしたチームで、現在は約40名の部員がいます。もちろん、二人の息子も部員です!
千穂:息子たちに「体を動かす部活や習い事をさせたいなあ」と思ったのですが、なかなか厳しすぎたり、制限が多くて、うちの子たちには向かないなあ……と思っていて。もっと自由に、遊びの延長でスポーツを楽しめる場があればいいのに、と思っていたんです。それで「自分たちで作ればいいんだ!」とひらめいて。
△ 和邇だけに、ワニがシンボルマーク!凝り性のご夫婦らしい遊びごころが満載。
ーー運営資金はどうされているんですか。
勇太:入会料や月謝はなく、カンパ制です。練習日に貯金箱を置いておいて、いれたい人、いれる余裕がある人にいただくスタイルです。「子どもも親も、ストレスフリー」がテーマですから、好きな練習だけ参加して、あとは周りで遊んでいてもいい。自由なスタイルをとっています。
千穂:グラウンドではノリノリで音楽もかけています! 大げさかもしれないですが、“スポーツ版こども食堂”みたいな感じになればいいなあと思っているんです。
ーーアリゲーターズの活動は、別の記事でたっぷりご紹介させていただきますね! ところで、アリゲーターズのInstagramで『たのしい大人図鑑』という連載企画を見つけました。
千穂:昨年、ステイホームで練習ができない期間に、部員のみなさんとつながりたいなと思って企画しました。周りの友人など、毎日をとことん楽しんでいる大人のみなさんにメールインタビューし、「#たのしい大人図鑑(https://www.instagram.com/explore/tags/たのしい大人図鑑/)」というハッシュタグで紹介しています。今は30人ほどになりました! 保護者さんとお子さんが一緒に読んでくれるといいなあ。
私自身、とても元気なおじいちゃんに出会って、元気をもらったことがありました。だから、自由でワクワクする生き方をしている大人の存在を知ってもらったら、悩んだり、落ち込んでいる子どもたちを勇気づけられるのではないかと思ったのです。
ーーお二人にとって、和邇はどんな存在ですか?
勇太&千穂:わが家とアリゲーターズの大切なホームであり、「ストレスフリー」な理想の生活を叶えてくれる最高の場所。大・大・大好きです!
△「惑星」のショップカードを描いているイラストレーター深川優さんからのプレゼント。
惑星(千穂さんのアクセサリーブランド)
instagram:https://www.instagram.com/wakusei_chiho/